「なぜ、山にのぼるのか。そこに、山があるからだ。」
時間がかかっても
手間がかかっても
油絵具をキャンバスにのせた瞬間の感覚を
これだ、これなんだと感じた。
アーティスト:Miyuu WATANABE
人は合理的なことやモノを望んでいるようで
私たちの本質はそれを望んでいない。
じゃなきゃ、時間をかける良さ
わざわざ手間をかける良さなんて
この世に、この宇宙に存在しない。
私はそう思う。
そして、人にはそれぞれ魂の奥行きがある。
それが普通は垣間見えなくとも。
その人が歩いてきた、歩いている
その人独自の奥深さが。
私にはアートの土台もない。
知識もない。
ギャラリストになりたいと言う目標もない。
きっかけは、ひょんなことから。
知ってみたい。触れてみたい。
そんな事からだった。
ギャラリーで働き出して約半年。
これはパートタイムジョブなのだけど、
私にとってはパートタイムジョブを
超える出会いがある。
シナプス がどんどん繋がっていくんだ。
アーティストのMiyuuさんとの出会い。
彼女の絵を観た時に
何か心惹かれるものがあった。
ちょうどグループ展の会期中で
私は朝、1人でギャラリーの番をしていた。
物販で販売されている彼女のノートを
眺めていた時
突然、地の底から湧き起こるように
「ウワ〜〜〜〜〜〜〜!」
と叫びたくなった。
「私も何か創りたい、創りたいんだ」
そんな衝動が湧いてきた。
「詩も書いてみたい。」
また、いつもの私の好奇心病のような
ものだろうか。。。
でも、そうじゃないようだ。
ちょうど、来年から色々と
リニューアルしようと思っている
「死のワークショップ」用の冊子を
作りたいと思っていた。
このワークショプのコンセプト、
空間作りから色々見直したい。
Miyuuさんと一緒に何か創れたらいいな。
今はまだ構想で、これからどう変わっていくか
わからないけど。
だから、Miyuuさんと一度
話してみたいと思い彼女をお誘いした。
Miyuuさんが西荻窪にある素敵な
カレー屋さんに連れて行ってくれて
たくさん色々な話をした。
話していく中で
彼女の柔和で包み込むような優しさの
雰囲気から、想像もできないような
人生の話を聞いた。
フランス人の旦那さんがいて
お子さんが2人いて
ワインのバイヤーの仕事をし
フランスに買い付けをしていた
ライフスタイルは眩しいくらいに
順調満帆に見える。
だけど、彼女は美大を卒業して、
しばらく10年ぐらいARTや絵を描く事から
離れていた。
離れざるおえない人生の出来事。
(Miyuuさんの了承を得て書きます。)
お母さんが始めたコンビニ事業。
深夜のバイトの人件費を抑えるために
彼女はコンビニで昼夜、
追われるように働く。
その頃、大学の時に出会ったチュニジア人の
男性と結婚するが、彼が大変な人だったらしく
暴力や警察沙汰が何度もある。
暴れるし、大変だった。
もう限界だと家を飛び出し
実家に逃げ込むも、
その頃、お母さんが他の事業にも
手を出し借金がかさむ。
母親がMiyuuさんに何度もお金を
借りる状況にも嫌気がさして、
所持金5000円持って子供2人を連れて
また家を飛び出す。
そして、彼女は語学が堪能だったので
ワインの買い付けの仕事に辿り着き、
今の旦那さんと出会う。
ここでは端折って書いたが、
それはそれは聞いていると、
私の想像を超えていた。
そして、やっと、、落ち着いてきて、
10年振りに、ずっと遠ざかっていた
忘れていた筆を取り出した。
ここ、1、2年のことだそうだ。
だからか、、と分かった。
彼女の描く絵はHappyに満ちているけど、
その奥に彼女の人生を感じたんだと思う。
惹かれるものがあった。
そして、再び、筆を握ってからは
アクリル絵具で絵を描き出した。
私も絵具の詳しいことはわからないが、
アクリル絵具は乾きも早いし
キャンバスだけでなく
紙にも描くことができる。
子育て、仕事をしながら絵を描くには
アクリル絵具で描くことは、
時間的にも都合もよかった。
だけど、やっぱり油絵を描きたい。
大きなキャンバスに描きたい。
彼女の言葉を借りると
「油絵具は乾かないし、臭いし、
仕上げるのに時間がかからない、、、。
そう言い訳をしていて、
本当は油絵具で描きたいのに
ずっとアクリル絵具を使っていた。
でも、油絵具を触った途端、
ずっと作りたかった質感が出来て
考えなくても筆が進んでいるのに
驚きました。」
話を聞いていて、私の中にも
そのMiyuuさんの感覚が伝わってきて
頭の中をひん剥かれたようだった。
手間がかかろうが、時間がかかろうが
人が自分の創造性を、表現したい物を
心、身体、一体となって出す時
頭(考え)なんて、吹っ飛んで
勝手に手は動き出す。
これは、絵を描くことに限ったことでない。
私は絵は描かないが、
私にとっても「それが」ある。
私はせっかちだ。
だから、今までは早く、手取り早く
結果や答えを知りたかった。
だけど、丁寧に創り上げたいと
思っているものがある。
それが今はワークショップでもあるけど、
これから、またどのような形で
どのようなものが現れてくるかは未知だ。
Miyuuさんと話していて、
「なんで、こんな自分の人生の話を
話しているのか不思議です。」
と言ってくれて、嬉しかった。
2時間のランチタイムは
あっと言う間だった。
彼女のこれからの夢も聴いた。
素敵な夢だった。
叶う気がする。
そのままのその通りじゃなくても。
彼女が心から魂から喜ぶ形で
叶う気がする。
だって、彼女は知ってしまったんだもん。
手っ取り早さや、最短の結果じゃなくて
油絵を描く喜びを。
「描きたい。」
そんな想いに
理由なんていらない。
そこに山があるからだ。
私もこれから、MIyuuさんと
どんなことが一緒に出来るのか、
魂の赴くままに感じて流れに乗りながら
具現化してみようと思う。
形になる、ならないさえも手放して。
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アーティスト:Miyuu WATANABE
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「無の感覚」体現ファシリテーター/メンタルコーチ
13年間、様々なトップアーティストのマネージメントに従事。表舞台と裏舞台を繋ぐ重要なポストに付きながらメンタル面の大切さに気づき、「心」と「意識」の勉強を始め、40歳を機に独立。セミナー・講座の講師として活動をスタート。
アーティストに深く関わってきた経験を活かし、“その人自身の本来の魅力や眠っている才能を引き出すサポートを得意とする。
現在は「場を創り、その人の可能性を引き出し、顕す。」というコンセプトを元にワークショップ、講座を提供している。また都内のアートギャラリーに勤務。
FM FUKUOKA 毎週木曜26:00〜「The PentHOuse」のアシスタントパーソナリティとしも活動中。