本当のことを伝える大切さ〜音楽プロデューサー平出悟さんとのお仕事②〜

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本当のことを伝える大切さ〜音楽プロデューサー平出悟さんとのお仕事②〜

初日の打合せは、平出さんと何を話したのか、

よく覚えてませんが、

「お仕事を受けてもらえないでしょうか」

とお願いしに行った感じです。

 

平出さんは超忙しい方ですが、

「まあ、やってみましょう!」と言ってくれました。

 

正直なところその時、
音の方向性がバッチリ決まっていた訳ではなく、
バンドのメンバーも私も手探りと言う状況でした。

会社で平出さんを入れて

バンドのメンバーとも打合せをし、

 

とにかく、1曲一緒にプリプロをしよう!

と進みだしました。

 

(プリプロとは……「お試しレコーディング」と言ったら分かりやすいでしょうか。仮でアレンジが出来がった曲にボーカルを入れて、曲全体の修正点を確認をしたり、アレンジの確認、歌詞の符割りの確認、方向性など……本レコーディングをする前にやるテストレコーディングのようなものです)

 

メンバーの作ってきたデモを平出さんに渡して、

そして、しばらくして

 

平出さんのアレンジが出来上がってきました。

聞いた瞬間……「なんじゃこりゃ〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!」

メンバーもめっちゃ、テンション上がったし、

私自身も、これがカセットテープだったならば、

擦り切れるほど、何度も聞きました。

 

さすが、平出さんです。
ってか、当たり前です。

 

メンバーが作ってきたデモが、
磨かれた宝石のように、
素晴らしいアレンジで光り輝いていました。

本当に、今聞いても素晴らしいアレンジです。

 

そして、プリプロをやることに。

本来は「担当ディレクター」がいて、

 

音周りに関しては、「担当ディレクター」

「プロデューサー」とやりとりするのですが、

 

この時は「担当ディレクター」がおらず、

「マネージャー」である私が、その業務を兼任しました。

 

マネージャーとして、レコーディングは

全部立ちあってきましたが……今回はちょっと違う。

 

音に関して、
専門的なことは私もわからない領域があります。
だからこそ、それぞれ担当が違うわけですから。

 

「だけども、
赤っ恥かいても今回はやるしかないな〜。
あ〜、しかも平出さんだ〜、、、、」

 

……こういう時は覚悟を決めるしかないです。

 

 

途中、おそらく「どうします?」と言う判断は

私に聞かれるだろう。

 

だけど、上司の確認も必要だし、

バンドのメンバーもそこにいるし、

板挟みはいつもマネージャーの常。

 

わからないなら、「わからない」と正直に言おう!

と決めてレコーディングに臨みました。

 

そして、プリプロの結果……。

そのプリプロは、普通にサクサクと進みました。

 

平出さんはプロですから、

私がどれくらいのレベルで、

音に関して話せるか分かっていたんですね。

 

現場は“ピリッ”とする時もあったし、

笑いが出る場面もありました。

 

それでも、緊張はずっとしてましたけどね。笑

 

プリプロはいい形で終わりました!

その夜、みんなでスタジオの近くに居酒屋に行って、

夜中まで色んなことを話すことが出来ました。

 

音楽のこと、平出さんの仕事のこと、

真剣は話、バカな話もたくさんして盛り上がり、

平出さんと仕事をしてお酒も飲んで、打ち解けた感覚がありました。

 

平出さんと作ったデモはみんな気に入ってくれました。

この時は、このまま平出さんと

曲作りが続いていくものだと、思っていたのですが……。

 

そして、その後、平出さんは

他の仕事でスケジュールがいっぱいで。

 

平出さんは、

「しばらく一緒にスタジオに入れないし、

なかなか曲をアレンジする時間がない。

バンドで出来る限りのことをやっておいて欲しいし、

他のアレンジャー、プロデューサーの方とも

やってもらって大丈夫です。」

と言ってくれ、時は流れていきました。

 

その流れの中で、
平出さんと仕事ができない間、

平出さんと作った曲の方向性と、

今後のバンドの曲の方向性は違うのでは??

 

簡単にいうと、

もっとナチュラルな方向がいいのでは?

という話になっていき……

 

そもそもそうであれば、

プロデューサーは平出さんでなく、

別のプロデューサーの方はいいのでは。

 

そうした話になっていき、

他のプロデューサーの方にお願いする流れに

向かっていったのです。

 

私は、その時……本当は
平出さんともう少し
曲を詰めてみたかった。

違う方向性でも、

平出さんに話して説明して、

お願い出来るかどうかいて聞いてみたかった。

一曲で判断するのではなく、

可能性をもっと探ってみたかった。

だけど、私は上司にも平出さんにもバンドメンバーにも、

誰にもその思いを話さず心にしまい込みました。

 

そして、バンドは違う
音楽の方向性で進み出しました。

今思うと結果、それで良かったと思っています。

 

ただ、私はその思いを

どこか引きずったまま時は流れました。

 

そして、ちょうど平出さんと

プリプロをして1年弱が経った年の瀬のある日。

 

平出さんが「年末なら少し時間がある」

ということで、平出さんと飲みに行きました。

 

平出さんは、1年弱のその間もたまに心配してくれて、

連絡をくださっていました。

状況はお伝えし、

「他のプロデューサーさんとやっているならそれで良かった。」

と言ってくださり、

本当にこの方は、

仕事もピカイチだけども、人としても

あったかい人だなあと思いました。

 

その2人で飲んだ時に、私は

「実はあの時、本当は違う方向性でも

平出さんとやってみたかったし、

それをやってみたいと

上司にもメンバーにも言わなかった。」

 

「まして、平出さんにも言えるはずなく。。。

みんなに話す勇気もなく、

勇気を出そうとせずに終わりました。

それが心残りです。」

 

と、正直に話したら、

平出さんは、

「なんで、言ってくれなかったんですか!!!!!!!!!!!!

俺は全然何を言われても大丈夫だし、やれるだけやりますよ。

香野さん、あのね、香野さんが思う以上に、俺は今まで
アレンジ、プロデュース色々、『こうしてくれ、ああしてくれ』って、
言われてきてるんですよ。

そんなことで、ムッとしたり怒ったりしない。
もし、今度、一緒に仕事をすることがあったら、必ず、必ず、
何でも言ってください。

香野さんが音に詳しいとか、専門用語がわかるとか関係ないんです!
香野さんの感覚でいいんです!というか、それが全てです。」

私はもうただ、ただ、

感動と共に呆然とするばかりで、

 

平出さんに感謝と尊敬の心でいっぱいで、

とにかく心がいっぱいでした。

いくら飲んでも酔いませんでした。

 

本音を話す、正直に話す。
このパワフルさを体感したのです。

その時、

私は平出さんに話していなかったら、

どこかずっと引きずっていたかもしれません。

 

私は「名うての新人を何人も育てあげた名マネージャー」

とかではないし、

 

「ヒット作をたくさん出したディレクター」とかじゃないし、

意見なんて言っちゃいけないと勝手に思っていたんですね。

 

一体、誰がそんなこと決めたのか?

誰も決めてない。

そう、私が作った制限でした。

 

他にも、平出さんは

「そのアーティストに最も熱を入れているのは誰ですか?

スタッフとして、その人の想いが大事でしょ!」

と、そうしたことも話してくださいました。

 

私は正直に話したことで、

今まで閉じていた可能性が開かれたように思いました。

 

そして、

いつかまた平出さんと仕事をしよう!

という「希望」も持ちました。

 

正直に話す。本音を話す。

それは、もしその時に出来なかったとしても、

後からでも勇気を出して、話してみると

思いもよらなかった扉が開くかもしれない。

 

このエピソードはいつか話したいなと思っていたことです。

 

その新人バンドは色々あり、

デビューはしませんでしたが、まったく後悔はありません。

 

出来たこと、出来なかったことはありますが、

心からバンドメンバーへの愛情も持っていたし、

本気でやれたから。

 

その時、言えなかったこともこうして、

平出さんに伝えられました。

 

平出さんと出会えたことも、本当に大きかった。

平出さんとの仕事の経験は大いに私を変えました。

 

この経験の後、もうお一方、

違うプロデューサーと仕事をしたのですが……

(その方もみんなが名前を知っているアーティストのプロデュースをされている方)

 

この方とのエピソードも

私の人生にたくさんの気づきをくださいました。

それはまた、いつか話そうと思います。

 

本当のことを伝える。

本音を伝える。

次回、平出さんと仕事が出来る日が来ても

来なくてもいい。

 

だけど、また仕事やりたいな。

いや、やろうと思う!

 

平出さん、ありがとうございます。

心から感謝しております。

 

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