忘れられないアイスクリーム

あなたをこの世界に顕現しよう!

忘れられないアイスクリーム

2017年の7月16日から私は2泊3日で旅に出た。

今回の旅は不思議なご縁を頂いた4名プラス私。

一緒に旅に出るのも初めてだし、お互いのことも深くは良く知らない。

だけど、一緒に旅に出るのは楽しみだった。

そんな5名での旅で、しかも秘境をまわっていた。

 

そのメンバーのうち、
山下清さんみたいな青年がいた。

感受性がとても強くまた鋭く、現代社会ではちょっと生きるのが
大変なタイプだろうなと私は感じていた。

彼には以前に会っているが、正直に言うと、

彼に初めて会った時は、私はちゃんと話せるかな、、

と言う不安があった。

 

しかし、旅を続けている内に
彼の心の純粋さに心が動かされていった。

旅の途中、彼がちょっとやらかして落ち込む場面があった。

その後、路線バス3、4時間、秘境からまた次の目的地へ
移動していて、路線バスなのだが長い道のりの為、途中に休憩時間が入る。

 

休憩時間の時、外の空気を吸いたくて、バスから出て歩いていたら、
彼はもう1人の友人といて、泣いていた。

友人は彼に優しく

「大丈夫だよ」

と声をかけていた。

私も彼と友人の所に行き「落ち込まなくて大丈夫だよ。」と話した。

その時、私は彼の背中にそっと手をあてた。

 

そして、私は先にバスに戻った。

私はバスの一番後ろに座っていた。

彼と友人がバスに戻ってきた。彼が私の後ろの席まで来てくれ、おもむろに、アイスクリームを差し出し

「晴美さん、ありがとう。」

と言った。

 

私もアイスクリームを「ありがとう」と言って 受け取った。

バスが動きだし、私はアイスクリームを食べた。

 

なんだろう、41年生きてきて、
一番美味しいアイスクリームだった。

それは、私が初めて有島武郎の「一房の葡萄」を読んだ時のような、

なんとも言えない気持ちが込み上げ、彼の優しさが心地よく私の心をあたためてくれた。

そして、最初に彼に会った時、彼に対して話せるか不安に思った自分を恥ずかしく思った。

 

その後も旅を続けている中で、彼の純粋さや感受性に触れ、
その感受性の鋭さは、私を心地よく刺激してくれて、また、癒された。

彼は目に見えないものを感じ、そしてそれを純粋に表現する。
そして、何より嘘のない海のような優しさがある。

この旅の大きな収穫の1つだった。

人が1番欲しいものは、
人とのあったかい触れあいなのかもしれない。
そんなことを感じた旅でした。
今夜は心地よい旅の疲れで、よく眠れそうだ。

 

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